文部科学省の学びの視点――記憶力は「丸暗記」より「取り出せること」

「記憶力がいい子」と聞くと、たくさん覚えられる子を思い浮かべるかもしれません。けれど実際には、覚えたことを必要なときに取り出せるかどうかで、差がつくことが多いように思います。
せっかく覚えていても、授業中やテストの場面で出てこなければ、力としては使えません。反対に、頭の中でつながりができていて、思い出すきっかけを持っている子は、必要な知識を引き出しやすくなります。

文部科学省が示す学びとは

文部科学省が示している学びの方向も、知識を持つだけでなく、それを活用しながら学びを深めていくことに重きを置いています。学習指導要領では、育成すべき力を「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力」の柱で整理しています。
そこからは、覚えたことが「ある」だけでなく、必要なときに「使える」ところにこそ、学びの要があると読み取れます。  

記憶力は「記憶量」より「取り出せる力」

たとえば、一度覚えただけのことは抜けやすくても、何度も思い出し、使ったことは残りやすい。ここに、記憶の差が表れます。本当に力になるのは、覚えたことが必要なときに出てくることです。思い出せる形で残っている知識は、学力として働きます。

暗算で育つ「取り出せる記憶」

暗算の練習も、この「取り出せる記憶」を育てる題材の一つです。答えそのものだけでなく、どの順で考えたか、どこで迷ったかを振り返ることで、学びがその場限りで終わらず、次にも使える形になっていきます。こうして考え方の筋道を確かめることは、論理的に考える力にもつながっていきます。
記憶力は、生まれつきの資質だけで決まるものではありません。覚えたことを、必要なときに取り出せるようにトレーニングしていく。その積み重ねが、結果として本当の記憶力を育てていくのだと、私は考えています。

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